イチとハチと笹倉





















その日は珍しい事が重なった一日だった




『こんな夜の過ごし方』











「八夜、今日久しぶりに飲みにいかないか?」

大学の友人(浅間 正志くんという)に誘われた金曜の事
金がないと言ったらなんと立て替えてくれるという素敵な提案をされたので喜んでいくことにしたのだ
しかし講義が終わってからかなり時間があったので浅間と買い物に行くことにした(もちろん俺は見てるだけ)
そこでの出来事だった















「あれ、ハチ公じゃん」

いきなり名前といっても渾名(しかも一部にしか通じない)を呼ばれ振り返った先には笹倉がいた
しかも隣に美人のおねーさんを連れて。

「何でここに!?」
「いやそれこっちの台詞だし、まあいいや俺今日帰んないから」
もしかしてその美人と過ごしたりするんですか
お盛んなことです、羨ましいことです。
「あ、でも俺も今日飲みに行く予定なんですけど」
「そーなんか、じゃあイチに連絡しとくわ」
「すんません、お願いします」

実は俺、携帯を持っていない、というか払えなくて使えない
なので実際ここで会えてラッキーだった

「あ、後これもやる」

といって渡されたのは結構な額の現金だった
アンタ財布にどんだけいれてんだ!!
っていうか仕事何やってんだ!!

「別にいいよ!っていうかこんなにいらねえよ!!」
「でもお前金持ってないだろ、小遣い渡してないし、まあ貰っときなさい」
すごく悪い気がするが実際厳しいので有難く頂く事にした
背に腹はかえられねえぜ
「じゃあ有難くいただきます」
「よし、じゃなー」
「うい」

そして笹倉は美人と去っていった
彼女なんだろうか?あんな美人笹倉にはもったいないだろ、うん

「八夜、誰アレ」
「今のやっかい先の同居人」
「何お前あんな美人のところにいんの!?」
「いや、そっちは全然関係なくて、今ん所は男なんだけど」
「え、お前とうとうそっちにいっちゃったの!?」
「違う違う!!」



それから俺は飲みの席で必死に誤解を解くはめになった























そして家に着いたのはもう日付も変わる頃だった

玄関を開けると中は真っ暗で、めずらしくイチさんがもう寝ているのだろうか?と思った
しかし電気を付けるとテーブルの上に置手紙がった

「今日は外で泊まって来ます、いち。…って事は今日俺一人か」
しかし俺なんか一人にしといていいのだろうか
どこの馬の骨とも知れないただの居候(ペット)なのに
金持ってでてくとか考えないのかなあの人は
まあ信用されてるって事なんだろうか
イチさんの場合なんも考えてないたけだと思うけど
っていうかひらがなで名前ってなんだかかわいいなイチさん







「そいやこの家で一人って初めてかも」
イチさんは殆どといってもいい程家にいるし
笹倉はいない事もあるけど八割近くいるし
こんな広い部屋で一人って少し寂しい気がする
イチさんが俺を抱き枕代わりにするのって寂しさを紛らわせる為でもあるのだろうか、なんて思ったり
どんぐらいここら住んでるのか知らないけどさ
そもそもイチさんが寂しがりやなのかもしれないけど
いやでも抱き枕持ってんだからきっとそうだな、うん。
でも俺考えてみると二人の事何も知らないや、でも二人も俺に何も聞いてこないし
今のままでも上手くいってるし、多分このままでいいんだよな、うん。
でも






本当にこのままでいいのか…?







































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