イチとハチと笹倉


















帰ったら笹倉の書置きがしてあって

今日はお鍋だから好きな材料買ってこいとの事だったので

スーパーに行こうとしたらイチさんも行くと言い出したので

二人でスーパーに買出しに行く事にしたのです










『さむい日の情事』












「さむい」
「そうですね、もう冬ですからね」
「久々に外にでた」
「あー、締め切りでしたもんね、お疲れ様っす」
「ありがとう」
「いえいえ、そいやイチさん食べたいものあります?」

「・・・にくまん」

「や、夕飯なべなんですけど」
「うどん」
「じゃあ何鍋にしましょうか、キムチとかいいすかね、今日寒いし」




キムチ鍋の素と冷凍うどんをカゴに入れてあと野菜とか適当にいれてさっさと会計を済ませる
何故か、それはイチさんが子供みたいに俺の服の裾を掴んでプラプラしているから
明らかに俺よりでかいのに、恥ずかしいったらないっしょ
イチさんは実はとても子供っぽい、と思う
っていうか半分引きこもりだもんなあ、あんまり周りを気にしないんだろうなあ




「はい、これ持ってください」
「はい」
「じゃあさっさと帰りますよ」
「手」
「握りませんよ」
「ケチ」





お前はどこのガキだ
とつっこみたくなるがそこはまあ我慢だ































家について、お鍋だして、野菜切って、後は火にかけて食べるだけ状態にして笹倉の帰りを待つ
ソファーに座ってテレビを見ていたらイチさんが寄ってきた

「どうしたんですか?」
「さむい」
「エアコンでもつけますか?」
「いい、ハチ公が欲しい」
「は?」


俺が欲しいとか何いってんの、と思った瞬間イチさんに抱きしめられてソファーに倒れこんだ



「あったけー」



ああ、人の温もりが欲しかったのね、と一人納得
イチさんは言葉が少ないのでたまに理解できない
のでたまに変な誤解をしてしまいそうなのですが
そんな事ないよね、と自分に言い聞かせていたりするのです
でも前にキスされたりしたなあ、あれどういう意味だったんだろ
はは、怖くて聞けやしねえ


そんな事を考えていたら腰、というか背中にひやりとした感触

「なっ、何!?」
「あ、こっちのがあったかい」
「ちょっ、何してんですか!!」
「温もりを求めて三千里」
「何すかそれ!ってか、冷たっ!こそばい!!」



イチさんが俺の服の中に手を突っ込んできました
冷たいしこそばいし、マジで勘弁してほしい
しかしイチさんは何が楽しいのか手を休めようとしない
ちょっと、あんまりやりすぎると変な声でちゃうから
それ以上はやばいからっ!!

























「何してんのキミタチ」























はっとして上を見上げればそこには笹倉さんがおりまして



もんの凄い冷えた目で僕達を見ていました














「誤解です」

































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