「要」
「あんだよ」
『逢瀬』
「って悠太じゃねえか、どうしたんだよ」
「裕希に辞書借りに来たんだけど」
「ああ、あいつ今便所行ったぜ」
「うん、しょうがないから要の借りてあげてもいいかなって」
「お前借りる癖に態度でけぇな」
なんだかんだいいつつ要はロッカーから辞書を取り出した
「ほい、返す時は勝手に入れといてくれればいいから」
「どうも」
「しかしお前らが一人でいるのって新鮮だな」
「そう?」
別にいつも一緒って訳じゃない
まあたいてい一緒だけれども
「お前らに彼女ができたら別々になるのかね」
「まさかデートについていく訳にもいかないでしょう」
「裕希はやるんじゃねえの?」
「彼は前科がありますしね」
「双子も大変だねーおにいちゃん」
ええ、おにいちゃんは大変です
一人で要に会うのも一苦労です
「じゃあ、そろそろ戻るんで」
「おう」
「要」
「あ、遅かったなお前、今悠太が」
「うん、来てたね」
「なんだよ見てたのかよ、声かければよかったのに」
「別に、たまには応援してあげるのもいいかなと思っただけですよ」
「は?なんだそれ」
「いいです、要に理解できるとは思ってませんから」
「なんだとコノヤロー!!!」
(健気な兄を持つと弟も一苦労です)
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