「なあ、高校ん時の生物の先生覚えてる?」
「あーっと、崎ちゃんだっけ?」
「そうそう、今度結婚するんだって」
「へー、つかなんで知ってるの」
「俺付き合ってたんだよね、あいつと」
「…まじで?」
「まじで」
『確信的カミングアウト』
高校時代友人からいきなりこんな事言われました
カミングアウト!?
っていうか何故このタイミング!?
意味がわからん、訳がわからん!!
「え、何それカミングアウト的な話ですか?」
「あーうん、そうかも」
「何でこのタイミングですか」
「いや、言うつもりなかったんだけど、なんかツルッといっちゃった」
「そうなんだ」
いやはや、一体どういう対応をしたらいいのかわからん
そんなの急に言われてもね、態度かえるのも変だし
なんだよーもー
「え、てか詳しく聞いちゃってもいい感じ?」
「どうぞ?」
「何時頃から付き合ってたのよ」
「高二の夏頃からかな」
「いつまで?」
「先月」
つい最近だ、そんなに続いてたんだ
でも結婚するって事は
どういうことだ
「何で別れたの?」
聞いてからちょっと踏み込みすぎたかと後悔した
しかし聞いてしまったのでもう取り消しはきかない
「好きな人が出来たら別れて欲しいって言われて」
「でも、おかしくないかそれ」
「やっぱりそう思う?」
「うん」
「やっぱり二股かけられてたのかなー」
「そういうことするような人には見えなかったけど」
「ま、結婚なんかするぐらいだし、ガチじゃなかったんだな」
「それで、結婚って本人が?」
「ああ、昨日電話で言ってきたよ、正式に決まったって」
「昨日」
「でき婚だとよ、いいよな、女は子供できて」
「お前」
そこで解ってしまった
こいつが急にこんな事を言い出したのはきっと
誰かに慰めて貰いたかったのだろう
こいつはまだあの先生の事が好きでたまらないんだ
そう気づいたら思わずこいつの頭を抱え込んでいた
「ねえ、気持ち悪いとか思わねえの、お前」
「びっくりはしたけど、ごめん、思わなかった」
「謝るところじゃねえよ」
少しづつ、言葉が震えてきた
「泣いていいよ、辛いんだろ、慰めて欲しいんだろ」
びくりとして、それから震えだした
「俺は、酷い奴だ」
「何が?」
「お前なら、言っても大丈夫だと思ってた」
「うん」
「誰かに慰めて欲しかった」
「うん」
「お前を利用してるだけなんだ」
「うん、いいよ」
こういうことは友達の役目だろう?
だけど中々世間的に認められてないから、誰かに相談する事も話すことも
むつかしいだろう
「お前が利用してると思っても、俺はそんな風に思ってないから、全然構わないよ」
「ははっ、どんだけお人よしなんだっつーの」
「っていうか本当に利用しようっていう人間はそのことを言わないよ」
友達ってそういうもんだろう?
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