舞台は割と街中にある男子校
ここには着任2年目になる保健医がいる
身長は180近く、目が大きくぱっちり二重
少し天パの入った猫毛
鎖骨の見えるトレーナーにジーンズというラフな格好
彼の名前は遠山米介(25)
この学校のアイドルだった
『保健室のアイドル』
保健室には人が集まる
授業中でも放課中でも構わず来る
「君達ね、いい加減授業でたら?」
「何言ってんのヨネちゃん!俺らはヨネちゃんの為を思って!!」
「それが邪魔だっつの、大体用もないのに保健室来るなよ」
「病人がいるなら俺たちだってきやしないけどさ、今ヨネちゃん一人だもんよ」
「俺は一人がいい」
「危険だ」
「何が」
「だからさー何度もいってんじゃん、ヨネちゃんはこの学校のアイドルなんだって」
「ヨネちゃん無防備過ぎるから一人にしといたら襲われるもん」
「襲われるって在りえないだろ、例えあったとしても高校生に負けるかよ」
「いや、生徒だけとは限らん」
スパンッ
保健室のドアが勢いよく開けられた
「と、ととととと遠山先生!!ききき今日一緒に帰りませんか!!」
「いやです」
「ぎゃふん!!」
ガラガラ
ドアが閉められた
「ほらなー」
「そうだな」
新人教師青波(23)
米介に一目惚れしてしまったやっかいな教師である
ガララ
「おや、皆お揃いで」
「あ、谷崎せんせーだ!」
「崎ちゃん次空き?」
「そうだよ」
「じゃあ崎ちゃんにバトンターッチ」
「はい、任されました」
「じゃあねヨネちゃん崎ちゃん」
「またお昼に来るからねー」
ガララララ
「はあ、やっといなくなったあいつら」
「愛されてますねえ遠山先生」
「何言ってるんですか、谷崎先生もあいつらに合わせなくていいですからね」
「いやいや、これは好きでやってるからいいんですよ」
「そ、そうなんですか」
「はい」
学園のアイドルには親衛隊がいるもので
米介の周りには絶えず人がいる
一人にすると何が起こるか判らない為
常に誰かが一緒にいるのである
そうして常時周りを固めている生徒3人と谷崎先生が実質の親衛隊になってしまったのである
親衛隊というより護衛隊というニュアンスのが近いのだが
「にしても過剰すぎやしませんかね」
「そんな事ないですよ、前例がありますから」
「え、本当ですか?」
「ええ、教師が一人襲われてますから」
「お、おそわれ…」
「だからそんな事が起こらないように周りを固めているんですよ」
「は、はあ、どうも」
「だから絶対に一人にならないで下さいね」
「は、はい」
「迫られても拒んでくださいね」
「え、迫る!?」
スパンッ
「と、ととと遠山先生!!おおおお昼ご一緒してもいいですか!!!?」
「ごめんなさい」
「ぎゃふん!!!」
ガラガラ
「今みたいな感じで」
「なるほど」
遠山米介の受難は続く。
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