酷い男だ
弱っている所に手を差し伸べて
必要不可欠な存在になって
手放せなくする
『週末片想い』
「よお」
「おー」
週末のバーの隅っこで男二人がかたまる
「まーたドタキャンされたのか?」
「うるさいな」
「先週もだったろ」
「仕事が忙しいんだ、しょうがないよ」
「たまには強気にでればいいのに」
「そんな女々しいこと出来るかよ」
「確かに仕事と俺とどっちが大事なの?なんて言えねえな」
「俺遊ばれてんのかな」
「さーな」
「なんか、ごめんな、いつもいつも呼び出して」
「いや別に」
「お前にも予定があるだろうに」
「お前と違って俺は暇ですから」
「そいえばお前の浮いた話聞かないな」
「相手がいないから必然的にな」
「ふーん、もったいない」
「ま、今はその方が都合いいし」
「何で?」
「お前の呼び出しにいつでも出ていけるだろ?」
「それは、うれしいけど申し訳ないような」
「いいんだよ、人の色恋聞くのは楽しいんだから」
「俺いつも愚痴しかいわねーじゃん」
「吐いた方がすっきりするからいいんじゃね?」
「お前って、本当にいい奴だな」
「大げさだな」
「いやいやいや」
こいつは知らない
何で俺が全ての呼び出しに応じるのかを
打算無しで俺が動くとでも?
そんなに無欲な人間じゃない
お前の彼女は今頃別の男と寝てるよ
お前はただの都合のいい男だ
お前がそれを知った時、必ず俺を頼ってくるだろう
今のお前には俺はもう必要不可欠な存在になってしまった
その時にめいっぱい優しくしてやろう
そうしたらお前はもう俺から離れる事はできない
優しくされることを知ってしまったお前は
もう俺を手放すことはできない
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