一緒にいてくれるなら、なんだっていい
捨てないでいてくれるのなら
どんだけ裏切られたって
ずっと好きでいてあげるから
『displeasing』
「お前はまーた変な男にひっかかりやがって」
「変じゃないよ、ちょっと浮気性なだけだよ」
「それが変だってんだよ、駄目女みたいに駄目男ばっかり好きになりやがって」
「しょうがないじゃん」
「しょうがなくねーよ、気をつけろよ、母性とかお前はねーだろうが」
「だけどさあ」
「さっさと別れろ」
「でも大事にしてくれるんだよ」
「そりゃ前のDV野郎に比べれば誰だってそうだろうよ」
「浮気はするけど、一番は俺だって言ってくれるし」
「そりゃ相手全員に言ってんだよ、ったくお前は本当にアホだな」
俺は男が好きだ、それはもうそういうもんだと諦めてしまったのでしょうがない
だけど恋愛はしたい、だから自分から探しにいく、だけどいつも相手はちょっと難ありな人で
最初の人は付き合ってしばらくしてから妻子持ちだと知った
次に付き合った人はバイの人で彼女が出来たといって捨てられた
その次は暴力の激しい人だった、ちょっと辛かったけど、殴った後に優しく抱いてくれるのは好きだった
そして今はちょっと浮気性の人、家に遊びにいってもセフレがいたりする、そんな人
本当に駄目男ばかりだと自分でも思う、でもこれは仕方がないのだ
俺の話をいつも聞いてくれるのは小さい頃からの友達の順平だ
思春期に俺が泣きながらカミングアウトしても友達を辞めずに今までずっと友達でいてくれる
何ともありがたい奴だ、今もこうして男が出来る度に相談している
だけど毎回駄目男ばかりと付き合うのでいつも別れろっていわれる
「お前もさ、そろそろまともに生きろよ」
「まともに生きてるつもりなんだけど」
「それがまともじゃないっていい加減気づけバカ」
「酷い」
「んだコラ、毎回胸くそ悪い話聞かされるこっちの身にもなれよ」
「そんな風に思ってたんだ」
「当たり前だろ、不倫とかDVとか男女でも胸くそ悪いっての、それが男でもそんなんとかやってらんねって感じだよ」
「だって他に相談する人いないし」
「別に相談する事が悪いって言ってねえだろ、人を選べっていってんの」
「選んだらそういう人ばっかりなんだもの」
「お前ホイホイついて行き過ぎなんじゃねえの」
「そんな事、ないとは、言い切れないけど」
「ほらもーそういう所が駄目なんじゃねえか、毎回俺が彼氏面して別れさすとかいつまでも出来ると思うなよ」
「それはもう、重々」
「んじゃ今の男ん所いくぞ」
「え、なんで?」
「なんでって、そんな奴とは別れろって俺さっき言ったよな?」
「う、うん」
「どうせまた断れ切れなくてぐだぐだセフレになるだけだろうが」
「うう」
「これに懲りて今度こそいい加減まともな男見つけろよ」
「…うん」
順平はいつだって助けてくれる
初めの男の奥さんに不倫がバレそうになった時だって俺の彼氏だっていってその場をおさめてくれた
DV男の時だって助けてくれた、俺の代わりにといって男を殴った
困った事があると、順平はいつも助けてくれる
俺が変な男に捕まる度に文句をいって、俺を気にかけてそんな男とは別れろといって別れさせてくれる
だから俺が変な男と付き合うのはしょうがない事なのだ
駄目であれば駄目である程、順平は心配してくれる、俺の事を考えてくれる
毎回助けてもらう度に少し期待をするけれど、それはやはり友達の域をでないもので
でもその時だけは順平を独り占めできる
俺は本当に好きなのは順平だけ
だから順平の気を引く為にならなんでもする
順平の気持ちが離れてしまうならその原因を排除する
そうすればずっと一緒にいられるから
俺はずっと順平を好きでいられるから
それでいい
ずっとそれでいい
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