突然だが俺は生徒会書記をしている
そして俺以外の生徒会メンバーはかなり濃い
『dokidoki生徒会』
「会長、今度の文化祭の申請書ですけど書類これでよかったですかね」
「…(こくこくと頷く)」
「…(納得いかない表情)」
「…(グッジョブのジェスチャー)」
「てめー返事ぐらい声出せこの野郎!!」
これである、
生徒会長が無口。
なんでやねん、思わずツッコミもベタになるわ
会話なんて数える程しかした事ない、全校集会の挨拶でも一言しか喋らない
しかし何故かそれでも生徒に人気があるのだからまったく理解できない、何故生徒会長に選ばれたのかも理解できない
そもそも俺は今年この学校に編入してきたばかりなのでこの学校の事も詳しくない
なのに何故俺が生徒会なんぞに入ってしまったかというとなり手がいないと先生に頼まれたからだ
仕方がないのでしぶしぶ承諾したらこの有様、たまったものではない
そして問題なのは生徒会長だけではない
「お前毎度毎度喧嘩売ってんじゃねーよ、そんな事してても物事は進まないだろうが」
「だってむかつくじゃん」
「人にはそれぞれ事情ってもんがあるんだよ気にすんな」
「そりゃそうだけど」
「じゃさっさと目の前の仕事をしろ」
「ぐっ、命令すんなよな」
「俺の方が偉いんだから仕様がないだろう」
「生徒会って別に上下関係で役職付けてる訳じゃないと思うんだけど」
「役職が偉いのではない、俺自身が偉いんだ」
「うわー、言い切りやがったよこいつ」
これである(二回目)
副会長である。偉いのである。(本人談)
毎回言われるが何がどう偉いのかは判らない
何やら詳しい友人に聞いてみればあれはそういうジャンルだと言われた
ジャンルって何だジャンルって
ジャンル【(フランス)genre】
種類。領域。特に、文芸・芸術作品の様式・形態上の分類についていう。
調べてみてもよく判らなかったので俺の中では副会長は中二病を地でいく人だと納得した、高校生だけど
大学いってもあれだったらどうするんだろう、多分見ているだけで恥ずかしすぎる
絶対違う大学に行こう、うん
ガチャ
「おーす」
「遅いぞ」
「ちっ、いちいちうるせーな」
普通に注意しただけなのに舌打ちされた、ちくしょう
遅れて生徒会室にやってきたのは不良、もとい、会計である
不良が何故生徒会にいるという疑問はまず置いといて会計とか大丈夫かよ、と俺は思った訳です
「あ、そいや文化祭の会計書類先生から戻ってきたぞ」
「ああん?なんでだよ」
「知らねーよ」
「ちょっと見せてみろ」
副会長に書類を奪われてしまった、そして会長がそれを覗き込んでいる
「何か桁間違えたとかそんなんじゃねーのか?」
「…(指を指す)」
「あ、」
「何?」
「娯楽費」
「は!?」
「しかも一番割合が大きい」
「娯楽費って何だよ、何に使うんだよ」
「あーん?酒、タバコ、菓子、昼食代とか」
「私物化してんじゃねーよ、それって横領って言わない?ねえ言わない?」
「俺ムツカしー言葉わかんねーから」
「善悪の区別ぐらいつけよ高校生がよーふざけんなよー!!」
「おいおいちょっとお前落ち着けって」
「そんなん付いてたら俺こんなんなってねーんじゃね?」
「そりゃーそうですねって納得できるかバカたれ!!」
「書記がキレた!!」
「バカだとテメー表出ろや!!」
「会計も応戦するんじゃねえ!!」
「…(黙々と作業を進める)」
ドタバタと騒ぐ俺達
こうやって取っ組み合いになる事も珍しくない
だってムカツクんですもの
何事もスムーズに事が運ばないんですもの
なんでこんな生徒会なんだ
ドガッっ
「てめーらうるせぇ!!!」
誰かがドアを蹴破って怒鳴り込んできました
「図書館が隣にあるんだから静かにしろや!!」
「こ、光司」
怒鳴り込んできたのは俺の義理の兄弟の光司君でした
学校に編入してから会った再婚相手の息子さんだぜ、色々複雑な事情があるんだぜ
「洋二、原因はお前か?」
目が据わってますよ光司さん
「ち、違う!この不良が!」
「ああん、誰が不良だって?」
「だからお前は応戦するな、ややこしい!」
「黙れチンピラ共」
「ち、チンピラだと」
おれがこいつらと一緒くたにされただと
「チンピラと呼ばれたくなかったらそこの会長さんみたいに真面目にやれよ」
「そいつただの無口なだけじゃねーか」
「ここの誰よりも手を動かしていると思うけど?」
「ぐっ、」
この一言には誰も言い返せなかった
ちきしょう、会長の無口がこんな所で役に立っているとは
俺も無口キャラで行こうかな、うん、無理
「悪かった、もう騒がしくしない」
「次やったら殴り込みにくるからな」
「受けて立つぜ」
「だから応戦するな馬鹿が」
怒鳴り込みの次は殴り込みかよ、という俺の言葉はかろうじての所でとどまった
これ以上機嫌を損ねると何をされるか分からない
「さて、改めてやるか、会計、娯楽費は削れ」
「へーへー」
暫く無言で書類を書く各々
しかしそれは長くは続かない、基本的に沈黙が苦手なのだ、不良が
「つかよー、さっきの奴誰だよ」
「知らないのか?書記の義兄だろ」
「あん?双子か?似てねーな」
「違うし、つーか静かにしろよ、光司がまた来るぞ」
「はっ、あんなひょろいの俺の敵じゃねーよ」
「あいつはな、精神攻撃が得意なんだぞ!!」
「は?」
「不快な音とか夜な夜なお経CDとかかけて報復してくるんだぞ!!」
「それは、嫌だな」
「気持ちわりぃ」
「稲川淳二のCDとか毎日かけて気を抜いた頃に脅かしてくるんだぞ!!」
「怖ええよ」
「タチわりぃな」
そうなのだ、タチが悪いのだ
自称インドアなあいつは自分が力では勝てない事を判っている
だから対抗するためにあらゆる事を駆使して勝つらしい
何故対抗する、と俺なんかは思ってしまうのだけど
皆仲良くしていけばいいじゃん、下手に敵作ると大変じゃん
頭がいい奴って何を考えているか分かんないや
「双子じゃないならお前留年とかしてんの」
「は?何の話、光司の話?何蒸し返してんの」
「だから義兄だろ」
「何ギケーって」
「うわ、お前馬鹿の発音だな、そんぐらい知っとけよ高校生だろ」
「いちいち煽るな」
「うるせえな、そんな事知らなくても生きていけんだよ!」
「…(静かにのジャスチャー)」
「知らない単語でてくる度に人に聞いて馬鹿にされるんだぜきっと、だっせー人生」
「ああん、喧嘩売ってんかテメー!!」
「そう聞こえなかったか?馬鹿不良!」
「おい、そろそろ静かにしろよ、というか書記はいちいち喧嘩売るな」
「だってムカツクんだもんよこいつ!こいつより成績のいい俺が留年とかする訳ないだろうが!!」
「成績成績ってお前そればっかか!勉強できたら偉いんかテメー!!」
「いや、だから黙れって」
「うるせーっつってんだろ!!!!」
ドガンッッッッ
と、先程より激しい音を立ててドアが蹴破られた
「あ」
「げ」
「うわ」
「…(さりげなく逃げる)」
「さーて科学部の皆さん、やっちゃってください」
光司の合図で何やら入って来た科学部らしい人達、その手にはビーカーや試験管といった薬品の数々
しかもマスクしてますよ、光司もしましたよ、一体何が、と思った瞬間ビーカーに注がれる試験管の液体
その瞬間、
「…っくっさ!!!」
「…っ!!!!」
えも言われぬ臭い
テロだ、これはテロだ!!
「光司、てめー…っ…」
「言っただろう、殴り込みに来ると」
言った、確かに言った
しかしこれは殴り込みと言えるのだろうか、と
消え行く意識の中俺は思った…
------収集が付かなくなったので終わる。
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王道設定を入れ替えたらどうなるだろうかと思ってやってみたものの
まったく話が進まない
しかも俺様設定まったく生きてない
書いてて楽しかったけど王道の方が読んでて面白いですね
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