小林と増田


























「お前今日暇?」
「別に何もないけど」
「じゃあ家こいよ、飲もうぜ」
「二人で?」
「うん」
















『酒』
























「で、何買うよ」
「つまみ系があればいいっしょ、あとチューハイ」
「へいへい、つかお前酒飲めんの?」
「ふふふ、この俺をなめちゃあいけないよ増田くん」
「はいはい万年下戸の小林くん」
「俺だって飲みたい時があんのよ」
「まあ無理すんな」





大抵こういう時は振られた後だったりするんだ
ぜってー間違いないって、うん



















スーパーにて酒盛りの買いだしを済ませた後、小林宅へ向かった
4畳半の狭いアパート、こいつの小さな王国


























ガチャ






















「おじゃましまーす」
「おう、どんどん邪魔しろや」
「相変わらず狭いな」
「うっさい、一人暮らしは大変なんだ」











うんうん、たしかに大変だと思う、大学生にもなって親元にいる俺には想像もできない生活だろうね
だって俺洗濯とかできねぇし、飯作れねえし












プシュ


「ってもう飲んじゃうのお前」
「増田ものーめ!!」
「においだけで酔ってんじゃねーよバカ」

本当に弱いのな、こいつ


























「で、どうしたよ」
「んー?」
「何で飲みたい気分?」

「んー…?あー…なーんかねー、かなしくてねー」

「どうせまた振られたんだろ」
「あったりー!増田ってあったまいーなー!!」




まだ1本もあけてないのにこの有り様、弱すぎて話になんねえっつの







「なーんで彼女できないのかなー?」
「お前が面食いなんじゃないの?」
「んなことねーべ?」


ああそうですかい、そうは思えないけどな




















「しっかしお前は挫けないね、ホント」
「そっかね?」
「今年入って何人目よ」
「6人…か?」
「そんなに彼女欲しいか?」
「んーっていうか認めたくないのかも」
「なにが」
「増田のことが好きだって事」



「お前まだそんなこといってたのか…」









いい加減冗談じゃすまされなくなってくるぞ


ってうか冗談じゃねーよそんなの












「一応まだ保留って感じだけど」
「まあそんなことはいいからもっと飲めや」
「そんなことって俺にとっちゃ重大な」
「まず飲めって」
「いただこう」







ごきゅごきゅ









下戸のくせして無理矢理飲む癖のある小林を黙らせるのはこれが一番の方法である


















































すかーーーーーーっ


















「って潰したはいいけど一人で飲んでもつまんねーじゃん」














もう終電もねーしなあ…

















「ゲームでもしてよ」
















































今度起きたら全てを忘れててくれたらいいのになあ、





なんて思って見た小林の顔はとても微笑ましかった























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