唇に何かが当たった
気がした
『不確定性原理』
「あれ、何でお前がいるんだ?」
目が覚めるとそこはいつもの俺の部屋
なのに視界には小林がいた
しかも上半身裸で
「え、何覚えてないのお前」
「つかなんで上着てねえんだよ!!」
「恥ずかしがんなよ〜俺と増田の仲じゃん」
「どんな仲だよ」
布団からでて周りを見渡せば空き缶とゴミが散らばっていた
ああそうだ、昨日は宇野と小林と家で飲んでたんだっけ
「宇野は?」
「バイトあるっつって明け方出てったぜ?」
「お前はなんでまだいるんだよ」
「え!?」
「変な事してねえだろうな」
「へ、変な事って何だよ!!」
そこでそんな反応されると困るのだが
本当に何もされてないよな俺
「つか服着ろよ」
「あ、うん」
「今何時?」
「12時前」
「お前いつ起きたの?」
「9時ぐらい?」
「今まで何してたんだよ」
「え…ナニって…」
だから顔を赤くするなってば
「本当に俺に何もしてないよな?」
「う…う、うん」
「誓えるか?」
「…」
だからなんでそこで黙るんだよ!!
一体何したんだこいつは!!
「じ、実は…」
「お、おう」
「起きたらお前がまだ寝てたから、チャンスと思って寝顔を焼き付けてて」
「…」
「で、食い入るように見てたらいつの間にか顔が近づいてて…」
「…まさか」
「いや、あの…その…」
「嘘だよな…?」
「じ、事故だったんだよ!!」
「なんでもいいから嘘だといえー!!!!」
顔を真っ赤にしながら語る小林がどうにも気持ち悪かったので
俺は真相を解明しないまま話しをぶった切った
俺は何も知らない
何も知らないんだから
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