サァァ
「あ、雨だ」
『合傘』
「げ」
確かに朝テレビでお天気お姉さんは傘が必要かもと言っていた気がする
しかし家を出る時に降ってないと大体俺は傘を持ってこない
だって荷物になるし忘れるし
だから今日も持ってきていないのだ
「まあ午後から雨つってたかんな」
「帰る頃には止んでねーかな」
「どうかなあ」
ッザァァァァァァッ
「増田…これ昼より強くなってるべ」
「…見りゃわかるよ」
帰る頃、外は土砂降り
あれ、何これいじめ?
駅まで遠くはないがけして近くもない
濡れるのは確実だとしても鞄を濡らしたくはない
うう…どうしよう
「さて増田くんここに一本の傘があります」
「お前のだろ」
「いれてあげてもよいぞえ」
「…」
ありがたい、が
男二人で相合い傘か…ちょっと悲しいな
「ただし条件があるです」
「…なんだよ」
「今度お前ん家に泊まらせて?」
「…別に、そんぐらいいいけど」
何だ、もっと凄いのかと思ってしまった
凄いのって何かといわれたら困るがまあなんとなく察して欲しい
「んじゃ今度の金土でお邪魔するんで」
「ん、って駄目だその日親いねぇわ」
「いいじゃん」
「だって飯ねぇよ?」
「いいいい、おばさんの飯が食えないのは残念だけどむしろチャンスじゃない?」
「は?」
「では帰ろうか増田くんや」
「あ、ちょっ待てよ」
「うわっちょっ濡れてる!!お前もっとそっちいけって!!」
「こっちも濡れてんだってしょうがないだろ」
「傘ちっせーよ!!」
「人の物に文句言わないの」
すると小林の手が腰に伸びてきた
「ちょっお前何!!」
「もっとくっつかないと濡れちゃうかなーって」
「セクハラだバカヤロウ!!」
ベチッとその手を叩いてやる
そしたら小林はガードが固いのねとかいいやがった、
ちょっとカチきたので足を踏んでやった
「うわいって!!なんだよ!!」
「自業自得じゃ変態」
「なっ…、変態はねぇだろ!!」
男に必要以上に触ってくる奴は充分変態だと思う
「もういい、傘だけ貸せお前」
「あ、ちょ、待てよ」
傘をひったくって一人歩き出した
瞬間
バシャ
横を通り過ぎていく車がはねた水にひっかかった
「うわ…お前大丈夫?」
「大丈夫じゃねえよ」
見事にびしょ濡れ
もう傘なんてあってもなくてもかわらない、そんな感じ
「…うちくる?」
俺は小林の提案をしぶしぶ承諾した
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