小林と増田
































「台風来るんだってな」
「へー」
「超大型らしいよ」
「へー」
「直撃だってよ」
「へー」
「雨とかすげえ降るんだってさ」
「へー」
「また雨漏りしちゃうなー、俺ん家」
「あー、確実にしそうだな」












『続・台風』














「お前そろそろ察しろよ」
「は、何が?」








いつもの学校、授業待ちの時間
小林と俺は食堂でぼけっとしていた
そういえばニュースで台風が来るとかいっていたなあと思いつつ
小林の話を聞き流していた
一体何を察しろというのだろうか









「だからさ、台風なのよ」
「うん」
「この前の台風ん時来たろお前」
「うん、雨漏り酷かったな」
「だからさ、泊めてよ」
「どこに」
「お前ん家」
「は?」








ああ、そういうことか
雨漏りが酷いから非難したいって事ね
まあいいけど別に
俺もよく小林ん家にお世話になってますからね






「いいけど、台風いつくんの」
「明日?かな、バイトある?」
「や、ない」
「じゃあお願いします」
「おう」




















そして次の日小林はうちへやってきた
まあ雨は多少強いが風もなく、本当に台風なんだろうかという天気だった









「小林ー、フロ空いたぞ」
「あ、あんがと」


しかし小林は動かない


「なんだよ」
「や、風呂上りってそそるなと思って」
「さっさといけ!!」




何をいってるんだこいつは
無理矢理俺は小林を部屋から出した
最近あいつの言動が変態っぽくなっている気がする
勘弁してくれ、そもそもあいつは俺が好きかもしれないってだけだろ
好きって確定してねえじゃねえか
っていうか男に欲情するってどうよ
完璧そっち側にいっちゃったのか?
しかもその対象が俺ってあれ?これ危険じゃね?
いやいやいや、大丈夫だって、親いるしね
あいつだってそんな事するつもりなんてないよな?













なんて事をもんもんと考えていたらいつの間にか朝になっていた
床では小林が寝ていた





「あれ?」




どうやら俺は小林が風呂から戻ってくる前に眠ってしまったらしい
まあも何事もなくてよかった、うん







「おい起きろ」



げし、と小林を蹴る



「んー台風はー?」

言われて外を見てみた
なんとまあカラッと晴れてます

「すっげえいい天気だぞ」
「まじでー」
「まじで、ほら起きろって」
「うげ」




小林を蹴り続けていたらどうやら鳩尾にはいったらしい
すまん





「あいたた、朝から激しいな増田は」
「お前は朝からむかつくな」





さっきのすまんは取り消しだ






「あー、台風過ぎたんだ」
「みたい」
「夜酷かったもんなー」
「そうなん?」
「うん、うるさくて寝れんかったもん」
「それは嫌味か?」
「いえいえとんでもないでございます」
「うわー、むかつく」





























学校へいったら
台風台風といって盛り上がっていたけれど
一番激しいときに寝ていた俺はまったくそんな実感がなく
いつもと同じように講義も聞き流していた
どうせなら朝に来てくれればいいのに
これは学生なら誰しも思うことだろう




「増田」
「何」
「ちょっと帰り家寄ってけ」
「何で?」
「や、多分雨漏りしてるだろうから片付け手伝って欲しいなって」
「しょうがねえな」








前回の台風の後も結構大変だったのだあのボロアパートは
いや、ボロだなんていったら失礼だけど
あれは酷い、うん
家賃が安いからいいけど、他にいい所ないよあれ
そろそろ引越したがいいんでないか?
とさえ思ってしまう
そしてそれは小林のうちの玄関を開けた時確信に変わった
家の中は凡て水浸しになっていたのだ






























「お前、引越ししたら?」
「…そうしようかな」










































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