目の前に広がるは広大な草原と青空
日本にいたら一生拝めないような風景
01
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「ヒロー!今日暇?ってか暇だろ?」
勝手に決め付けられてますが、まあ否定はできないのでしないでおく
「何、何かすんの?」
「うん、七不思議見学ツアー」
「何だそりゃ」
「学校の七不思議は本当か、を体験してみようという趣旨の暇つぶし」
テンションが高いこの男(ちゃん、と呼んでいる)は何かとこういう話をもってくる
いい暇つぶしになるからいいんですけど
「ふーん、他には?」
「んーとね、今んとこうたまろとらんまるが決定で、あとカズ誘うとこ」
「らんまるって超常現象否定派じゃん」
「うん、なんか不思議がないことを証明するんだー、とかいってた」
ああ、なるほど
「りょーかい、放課後待ってりゃいいか?」
「うん!!」
そういうとちゃんはカズの所へとんでいった
犬っころみたいだ…
そして放課後
「よーし、じゃあ今から探検開始!!」
夜(つってもまだ夕方)になってもタンションが高い
「まずどこだ?」
「んー…音楽室いっとく?一番遠いし」
「てか鍵は?」
「え、ちゃん用意してねーの?」
「カズは?」
「らんまる…」
「普通いいだした奴が用意するんじゃないか?」
「…あはははは、わりいね」
そんなこんなで結局職員室に鍵を借りにいく事になった
まあまだ部活やってる所はやってるし、先生もいるし
理由が微妙だがきっと大丈夫だろう、と踏んで向かうことにしたのだ
「あ、ついでに体育館の見てこーぜ」
「いいな、そうしよ」
職員室は体育館を超えた先にあるのだ
「どこだっけ」
「小部屋の大鏡だろ?舞台横の階段からいける」
「うへ、こんなとこに部屋あったんだ」
「実は生徒会室」
「体育館なのに!?」
「こっちのが七不思議じゃん」
「いえてる」
冗談を言いながら小部屋にたどりつく
中はほとんど生徒会の私室になっているらしく
お菓子やらゲームやらが散乱していた
「あ、これか?」
奥の方に布をかけられた大きな物体があった
布を取るとそれはやはり鏡だった
「何だっけここの不思議って」
「引きずり込まれるんじゃなかったか?」
「…」
「…」
「触っても何も起こらねぇな…」
「やっぱダメかー…こりゃ他の期待できねえな」
「だから不思議は事はないんだよ」
「まあまあ、行くだけ行こうぜ」
「うぃー」
そうして皆が小部屋を出ようと出口に向かい
俺が鏡の前から動いた
瞬間
何かにひっぱられた
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そして話は冒頭へ戻る
…ここはどこだ?
多分日本ではないだろう。こんな広い土地はない
っていうかさっきまで学校にいたんだよ、どうしてこんな所に…
その時足に何かが当たった
見てみれば猫耳帽子を被った5、6歳の子供だった
…迷子か?
「どーしたちみっこ、迷子か?」
といっても自分も迷子なのでどうすることもできないんだけど
「お、おねーしゃん?」
「俺のどこを見たら女に見える」
生まれてこのかた一度だって女に見られたことはない
殴ってしまおうかこのガキ
「お、おにーしゃん…?」
「おう、そうだ」
とたん子供は慌てだした
「ど、どどどどどうしよう!!」
「あ?どうしたんだよ」
「しっぱい…しっぱいしちゃった!!」
「は?」
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それから30分ほどかけてちみっこは説明してくれた
つまりはこうだ、
この子供はとある国の第二皇子で、召喚術というのを使えるらしい
そしてこの国には第一皇子は異界から召喚した女と結婚する習わしがあって
最近遊び呆けてめっきり城に帰らなくなった兄に会いたくて、嫁を召喚しようと思った
しかし何故か俺が現われてしまいました、と。
んな事信じられるか
と思うがまあとりあえず自分の今の状況からして
信じた方が楽なので信じることにした
だってここは確実に自分の住んで育った場所ではないのだ
流れに身を任せるしかない
幸い言葉は何故か通じるのでよかった
「とりあえずさ、俺間違って来ちゃったんだろ?帰っていい?」
「できないの!だめなの!」
「は?」
「いかいからのしょうかん、一度しかだめなの!!」
「いや、だから帰してくれれば…」
「むりなの!!」
こいつじゃ話にならねえ
そう思った時、遠くから馬車が近づいてくるのが見えた
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